南部鉄器の歴史(盛岡と水沢)
南部鉄器には、岩手の二大産地「盛岡」と「水沢(奥州市)」があり、それぞれ別の歴史から育ちました。系統の成り立ちを知ると、鉄瓶選びがもっと楽しくなります。
南部鉄器は二つの産地から
「南部鉄器」と呼ばれるものには、大きく盛岡と奥州市水沢という二つの産地・系統があります。1975年(昭和50年)2月17日に国の伝統的工芸品に指定され、現在も両産地で作られています。それぞれ起源が異なります。
盛岡系 ─ 茶の湯釜から育った系統
盛岡の鉄器は、江戸時代に盛岡藩(南部藩)が京都から釜師を招き、茶の湯釜を作らせたことに始まるとされます。茶道文化とともに、茶釜や鉄瓶など鑑賞性の高い品が発展し、藩の保護のもとで格式を重んじる作風が育ちました。南部鉄瓶の原型も、この盛岡で生まれたと伝えられています。
水沢系 ─ 日用の鋳物から育った系統
奥州市水沢の鋳物は、平安時代末期に藤原清衡が近江国(現在の滋賀県)から鋳物師を招いたことに始まるとされます。鍋や釜など暮らしの道具をつくる日用鋳物として発展し、量産にも対応する産地になりました。
「南部」鉄器という名の由来
「南部」は、盛岡を治めた南部氏(南部藩)に由来するとされます。もともとは盛岡の鉄器を指す呼び名でしたが、現在は岩手で作られる鉄器の総称として広く使われています。
受け継がれる伝統的工芸品
両産地の鉄器は1975年に国の伝統的工芸品に指定され、職人の手仕事として受け継がれています。系統の違いは優劣ではなく作風の傾向です。本サイトは、両産地の工房を公式サイト・正規取扱店で確認して掲載しています。
よくある質問
Q. 南部鉄器と南部鉄瓶の違いは何ですか?
南部鉄器は鍋・釜・鉄瓶・急須・風鈴などの総称で、南部鉄瓶はそのうち湯を沸かす鉄瓶を指します。鉄瓶は南部鉄器の代表的な品です。
Q. 盛岡と水沢、どちらが本物の南部鉄器ですか?
どちらも本場の南部鉄器です。盛岡は茶の湯釜由来、水沢は日用鋳物由来と起源が異なるだけで、優劣はありません。作風や価格帯の傾向の違いとしてとらえるとよいです。
Q. なぜ「南部」と呼ぶのですか?
盛岡を治めた南部氏(南部藩)に由来するとされます。もとは盛岡の鉄器を指しましたが、現在は岩手で作られる鉄器の総称として使われています。
Q. いつ伝統的工芸品に指定されましたか?
1975年(昭和50年)2月17日に、国の伝統的工芸品(金工品)に指定されました。
出典:及源鋳造(OIGEN)公式コラム・奥州市公式・伝統的工芸品産業振興協会。歴史は通説に基づく概説で、年代・人物には諸説がある場合があります。